| veryブログ - ichiharaさんのエントリ |
2006/06/02
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村上春樹の労働観
執筆者: ichihara (2:31 pm)
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内田樹さんがアエラ(2006.6.5)に寄稿した村上春樹の世界観についてのお話しを共感を持って読みました。 登場人物の「僕」はどんなにつまらない仕事でも徹底的にこだわってていねいに仕上げる。日常生活のディティールで手抜きをしないことが、不意に訪れる不条理な悪意からの最大の防御となる───。村上春樹の小説の主人公(たいていは「僕」)は、たいてい、仕事を淡々と、ニュートラルな心理状況のなかでこなします。登場人物の「僕」に与えられる「仕事」は経営から単調な芝刈りまで話によっていろいろですが、仕事に対する態度は一貫しています。内田さんが指摘したとおり、手抜きをしないで、美しく完璧にこなすのです。 日常生活におけるアイロン掛けや、たとえばスパゲティをゆでる塩加減についても、それは同様です。こうした態度が読者の共感を呼ぶのは、日常生活のディティールの中にこそ世界の深淵につながる入り口があるから、だと内田さんはいいます。 あともう一つ、礼儀正しくないといけないという話があります。人は突然、自分がそれまでにいた世界、座標軸を失ってしまうことがあります。不条理な世界に放り込まれてしまいます。春樹小説に出てくる僕もしょっちゅうそうした喪失の状況へと突然放り出されます。そんなときに「僕」にまわりの人物が状況を親切に教えてくれるのは、とりもなおさず、僕が礼儀正しく尋ねることができたからだという指摘です。だから礼儀正しくないといけないというわけです。 私は、礼儀正しさが自分にある程度備わっていたからこそ、どうやら今を生きていることができていると日々、実感しています。私が放り込まれた世界は相変わらずわけの分からない世界だけれども、なにしろ礼儀正しいから、まわりの人がなんとか支えてくれて、やっていられるようなのです。世界が不条理で悪意に満ちれば満ちるほど、礼儀正しさというのは重要になってきます。 内田さんはすごい人だと思いました。 |
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